2022年5月8日の礼拝メッセージの要約です。説教者:倉嶋新
ヤコブの手紙5章1節~6節 「金銭を愛するのではなく」
1. 金持ちへの警告
「金持ちたちよ」との呼びかけは誰に対してのものでしょうか。この手紙の宛先はユダヤ人の多くいた教会です。彼らにとって「終わりの日」とは、エルサレムの危機的状況を指しています。その時、すべてははかなく滅び去っていくというのです。その悲惨さは彼らがしてきたことのゆえでした。彼らが人々から搾取していること、そしてその声が天にも届いていると語られています。彼らは神の前で裁かれると警告されているのです。
2. 神の国の在り方
この「金持ち」たちが誰なのかが特定されています。それは主イエスを十字架にかけた人々でした。大祭司やサドカイ人、パリサイ人や律法学者たちのことです。「あなたがたは、正しい人を不義に定めて殺した。」そのようにヤコブは語っています。これは、私たちと全く関係のないことなのでしょうか。私たちは豊かな国に暮らし、気づかぬうちに様々な搾取の上に、この生活を成り立たせています。私たちは、誰一人として正しいと言えるような立場ではありません。主イエスは貧しい者たちのために痛み、悲しむ者たちのところに来てくださいました。さらに神の国について、その民の生き方について教えてくださったのです。神の国では、従来の在り方ではなく、互いに愛し、仕え、貧しい者たちが豊かに、悲しむ者たちが慰められ、ともに喜ぶという希望が提示されました。そこに向かって教会は歩みを進めています。
3. 主を十字架に架けた人々
ここでヤコブが糾弾している相手。それはイエスを十字架に架けた人々です。それは自らの正しさを捨てずに歩んだ人々です。金銭を愛することは、私たち誰でも抱えている問題です。それは私たちの弱さであり、この社会の弱さとも言えるでしょう。ヤコブは金持ちたちを、「彼ら」とは言わず、「あなたがた」と語りました。私こそ、主を十字架にかけたその一人なのです。しかし、今や罪ゆるされ、金銭ではなく、神を愛する神の子として、新しい心と新しいいのちをいただいています。主にあって富むもの、真の豊かさを知るものとされてまいりましょう。
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